ログハウスのメリット・デメリットを知る
ログハウスに対して漠然とした憧れを抱いていても、実際に住むとなれば話は別です。いったん新築してしまえば売却でもしない限りはログハウスと長い期間にわたって付き合い続けなければなりませんので、メリット・デメリットの両方の側面をあらかじめ知り、客観的に正しい判断ができるようにしておくのがよいでしょう。
ログハウスのメリットとは
ログハウスは天然のぬくもりが感じられる
我が国では歴史的に見ても木造建築が主流だったことから、同じく木造建築のひとつであるログハウスとは親和性が高いはずですが、そこであえて在来工法の和風住宅ではなくログハウスを選ぶにはいくつか理由があるはずです。
現代の木造建築といえば石膏ボードやパネルなどで覆われているのが常ですが、ログハウスであれば木材がむき出しの状態ですので、より天然の木の香りや温かみが感じられ、リラックス効果は高いといえます。
こうした精神的な意味合いでのメリットに加えて、物理的な意味での耐久性能の高さもメリットに挙げられます。
ログハウスは地震に強い
ログハウスはログ(丸太)を組み上げて壁をつくるのが構造的な特色ですが、もしも地震による揺れが生じた場合には、これら丸太同士の摩擦によって揺れが吸収されることが知られています。実際にログハウスの業界団体にあたる「日本ログハウス協会」で実物大モデルを使って実験をしたところ、阪神・淡路大震災の1.5倍クラスの揺れに対してもわずかな傾きが生じる程度の被害で済み、耐震性能の高さが証明されています。
日本は世界でも有数の地震大国ですが、意外にもログハウスは日本のこうした風土ともマッチしているのです。
ログハウスは火災に強い
また、木造といえば火災のおそれが心配されますが、その点でもログハウスは優秀で、火災に対する強さも特筆されます。もちろん火災が発生すれば壁の表面は炭化してしまいますが、ログ材にはかなりの厚みがあるため、内部まで火の勢いが及ぶまでには相当の時間がかかります。消火活動をしたり避難したりする時間は十分に確保できるといえます。
我が国では建物が密集する市街地や災害時の避難経路となる幹線道路沿いなどに防火地域・準防火地域が設定され、これらの地域では建築物の構造に法令上の大幅な制限が加えられています。しかし、ログハウスについては法令にもとづく防火構造や準耐火構造の認定を受けたものも数多く存在しています。
ログハウスは断熱性能が高い
ほかにも注目しておきたいのがログハウスの断熱性能です。
木材は無数の小さな細胞から成り立っていますが、空気で満たされた細胞は天然の断熱材となって外部からの熱を遮断する効果があります。定住向きであれば丸太そのものの厚みも10センチはありますので、夏は涼しく冬は温かいのがログハウスの特徴であり、最高のメリットといえるでしょう。
これは冬の底冷えするコンクリート打ち放しの室内などを想像してみれば、ログハウスが持つスヘポックの高さはおのずと理解できるはずです。
ログハウスのデメリットとは
ログハウスは天然の木材を使うことから、その特性上、定期的なメンテナンスが必要となり、他の種類の建物と比べると、多少わずらわしさがないとはいい切れません。
特にログハウスを新築してから数年間は、木が乾燥して収縮するために生じる壁の沈み込み、いわゆる「セトリング」への対応が求められます。この期間は特にボルトを締め直したり、ドアや窓まわりなどの建具の調整が必要となりますが、ほかにも収縮にともなうひび割れを防ぐために外壁を定期的に塗装し直すことも重要となります。
そのほか、パイン材を使っているログハウスでは脂が染み出してしまうことがあり、アルコールで拭き取ったり、スクレーパーでこそげ取るなどの方法で美観を保つ必要があります。
メリット・デメリットを知り上手に付き合う
このようにログハウスにもメリット・デメリットの両方の側面がありますが、デメリットをあらかじめ知ってしまえはいざという時にも対応は容易になりますし、メリットのほうをより伸ばすこともできます。いずれにしてもこれからログハウスを建てようとするのであれば、情報のストックは大いに越したことはありません。