江戸の時代の風情が残る竹原町並み保存地区を歩く

照蓮寺 観光
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波のおだやかな瀬戸内海に面した広島県竹原市は、江戸時代から明治時代にかけて塩田と醸造で栄え、今でも「竹原町並み保存地区」には当時のおもかげを残す風情ある建物が残されています。竹原駅から歩いて10分程度とアクセスしやすく、「安芸の小京都」の異名をもつこの地区は、のんびりと散策するにはもってこいの場所です。

竹原町並み保存地区の建物の特色とは

竹原町並み保存地区広島県竹原市の「竹原町並み保存地区」は、北前船での交易が盛んになった江戸時代に塩田と醸造で栄えたところで、およそ500メートルほどの本町通り沿いに、当時の伝統的な町家が軒を連ねています。

特に、瓦葺きの屋根や格子のある窓、灰色がかった漆喰塗りの壁は、商人にとってのある種のステータスであり、工夫を凝らしたデザインのものも多くみられます。

現在、これらの建物は子孫の生活の場として利用されるのはもちろんのこと、おしゃれな和風カフェや土産物店などとして改装され人気を博しているものもあり、通りを散策するだけでも「安芸の小京都」の風情を満喫することができます。

竹原市歴史民俗資料館:竹原の歴史を知る展示施設

竹原市歴史民俗資料館

「竹原町並み保存地区」は、1982年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

この地区の中ほどにあるのが「竹原市歴史民俗資料館」であり、地場の産業である製塩をはじめとした歴史や文化に関するさまざまな資料を展示しています。

水色のモダンな建物は、1929年に竹原書院図書館として建てられたもので、もとは地元の儒学者・頼春水らが開いた学問所である竹原書院のあった場所にあたります。

竹原市歴史民俗資料館
■所在地:広島県竹原市本町3丁目11-16
■電話番号:0846-22-5186
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR呉線「竹原駅」から徒歩約20分/山陽自動車道「河内インターチェンジ」から車で約20分
■駐車場:「道の駅たけはら」は無料、「新町市営駐車場」は60分100円

照蓮寺:古鐘が残る真宗寺院

照蓮寺

「照蓮寺」は、「竹原町並み保存地区」の北端にある寺院です。

中世には「定林寺」という曹洞宗の寺院であり、この地を拠点にしていた竹原小早川家の学問所として寺領300石を賜っていたといいますが、慶長8年(1603)、当時既に荒れ果てていたところを浄土真宗の寺院として再興され、後に「照蓮寺」と改称しました。
元文2年(1737)には本堂が再建されたことが、発見された棟札から明らかとなっています。

照蓮寺にはまた、「高麗鐘」と呼ばれる古鐘があります。銘によれば高麗王朝時代の峻豊(しゅんぽう)4年(963)に作られたもので、我が国に存在する朝鮮鐘の中でも最古級のものとして、国の重要文化財に指定されています。

照蓮寺
■所在地:広島県竹原市本町3丁目13-1
■電話番号:0846-22-2130
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR呉線「竹原駅」から徒歩約20分/山陽自動車道「河内インターチェンジ」から車で約20分
■駐車場:「道の駅たけはら」は無料、「新町市営駐車場」は60分100円

頼惟清旧宅:数々の碩学を輩出した頼一門発祥の地

頼惟清旧宅

頼惟清(らいただすが)は、江戸時代の儒学者であり、『日本外史』を著し幕末の志士たちに大きな影響を与えた頼山陽の祖父にあたります。

頼惟清はこの地で家業として紺屋を営むいっぽう、近所にいた儒学者の塩谷道碩らの下で学問を修めました。
また、頼春水・頼春風・頼杏坪(きょうへい)の3人の子供たちを学問の道に進ませ、彼らは広島藩儒や町奉行などに登用されるほどの出世を遂げたことから、後に「三頼」と讃えられました。

この「頼惟清旧宅」は、安永4年(1775)頃の建築であり、入母屋造本瓦葺の母屋と離れからなる建物で、裏庭には染物・家事・書道のそれぞれの用途に用いた3つの井戸が残るほか、頼山陽の歌碑も建てられています。

頼惟清旧宅
■所在地:広島県竹原市本町3丁目12-22
■電話番号:0846-22-4331
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR呉線「竹原駅」から徒歩約20分/山陽自動車道「河内インターチェンジ」から車で約20分
■駐車場:「道の駅たけはら」は無料、「新町市営駐車場」は60分100円

西方寺普明閣:町並みを見渡せる懸造りの建物

西方寺普明閣

西方寺は、長い石段を登った先の「竹原町並み保存地区」の高台にある寺院です。

『竹原市史』によれば、もとは田中町にあった禅宗の寺院であり、慶長7年(1602)に同じく禅宗寺院である妙法寺が火災で焼失したため、その翌慶長8年(1603)に代官・坂井信濃により妙法寺跡にあたる現在地に移転し、あわせて浄土宗に改宗したといいます。

その後、宝暦8年(1758)、妙法寺の本尊だった救世十一面観世音菩薩像を祀る観音堂として「普明閣」が建てられましたが、これは京都の清水寺を模した懸造りとなっており、竹原の町並みを一望することができます。

西方寺は、1983年公開の映画「時をかける少女」や、2010年公開のアニメ「たまゆら」の舞台として登場するなど、竹原のシンボルとして欠かせない存在となっています。

西方寺普明閣
■所在地:広島県竹原市本町3丁目10-44
■電話番号:0846-22-2236
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR呉線「竹原駅」から徒歩約15分/山陽自動車道「河内インターチェンジ」から車で約20分
■駐車場:「道の駅たけはら」は無料、「新町市営駐車場」は60分100円

お抱え地蔵:願いが叶う石地蔵

お抱え地蔵

お抱え地蔵は、慶安3年(1650)に造られた地蔵菩薩の坐像で、本町通りから細い路地を東へ入った坂の途中の地蔵堂に安置されています。

このお抱え地蔵を願い事をしながら持ち上げたときに、思ったよりも軽いと感じたならばその願いは叶うとされています。

地蔵堂内に備え付けられているノートには、竹原観光に訪れた人々のさまざまな想いが綴られています。

お抱え地蔵
■所在地:広島県竹原市本町3丁目地内
■電話番号:0846-22-7745
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR呉線「竹原駅」から徒歩約20分/山陽自動車道「河内インターチェンジ」から車で約20分
■駐車場:「道の駅たけはら」は無料、「新町市営駐車場」は60分100円

長生寺:伊予河野氏最後の当主を弔う寺院

長生寺

長生寺は、「竹原町並み保存地区」の南側に位置する真言宗の寺院です。

豊臣秀吉の四国征伐の際、小早川隆景の軍勢の前に降伏した伊予守・河野道直は領地を没収され、竹原の地に隠棲しましたが、天正15年(1587)に亡くなりました。

天正16年(1588)、河野通直を哀れんだ小早川隆景がこの長生寺を建立し、寺領200石を寄進したといいます。

境内の高台にある墓地には、今も河野通直の墓があります。

長生寺
■所在地:広島県竹原市本町1丁目16-22
■電話番号:0846-22-0283
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR呉線「竹原駅」から徒歩約15分/山陽自動車道「河内インターチェンジ」から車で約20分
■駐車場:「道の駅たけはら」は無料、「新町市営駐車場」は60分100円
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