古代の息吹を伝える和歌山市内の社寺を巡る
和歌山県の北西部、紀伊半島の付け根に位置する和歌山市は、江戸時代には徳川御三家のひとつ、紀州藩の城下町として栄えました。現在でも、和歌山城を中心に当時の面影を残す歴史的なスポットが数多く残っています。
ここでは、紀三井寺や日前神宮、伊太祁曽神社、淡嶋神社といった、和歌山市内にある神社仏閣をご紹介します。
伊太祁曽神社:樹木にゆかりの式内社
和歌山市伊太祈曽の「伊太祁曽神社」(いたきそじんじゃ)は、創建年代は不詳とされているものの、六国史のひとつである『続日本紀』には「伊太祁曽、大屋都比売、都麻都比売三神社を分け遷す」とあり、古代から存在することがわかります。
主祭神は五十猛命(いたけるのみこと)で、日本中を巡って木の種を蒔いて国土を豊かにしたことから、古来「木の国」といわれた紀伊国に祀られたといわれ、紀伊国の一宮にもなっています。
伊太祁曽神社では毎年4月に木々に感謝する「木まつり」が行われており、境内にはこのときに木工関係者が制作した見事なチェーンソーアートが並んでいます。
■所在地:和歌山県和歌山市伊太祈曽558
■電話番号:073-478-0006
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:和歌山電鐵貴志川線「伊太祈曽駅」から徒歩5分/阪和自動車道「和歌山南スマートインターチェンジ」から車で5分
■駐車場:無料
加太淡嶋神社:人形供養で知られる神社
和歌山市加太の「加太淡嶋神社」は、風光明媚な加太の浦に面し、隣接して加太淡嶋温泉の旅館街があります。
神功皇后が三韓征伐から帰ったときに嵐に巻き込まれ、友ヶ島に祀られていた少彦名命と大己貴命の加護で難を逃れたという由来を聞いた仁徳天皇が、友ヶ島から対岸に移して社殿を建てたのがはじまりとされています。
少彦名命(すくなひこなのみこと)・大己貴命(おほなむじのみこと)・息長足姫命(おきながたらしひめのみこと)すなわち神功皇后の3柱をまつり、古くから女性の病気を癒やす神様として信仰されてきました。
加太淡嶋神社では毎年3月3日、人形を船に乗せて加太の浦へと流す「雛流しの神事」が行われています。
また、年末年始などの期間を除く午前9時から午後4時までの間、社務所において人形供養の受付を行っており、このとき人形とともに元の持ち主から預かったヒトガタは、「雛流しの神事」の際に同様に海に流されます。
■所在地:和歌山県和歌山市加太118
■電話番号:073-459-0043
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:南海電気鉄道加太線「加太駅」から徒歩20分/阪和自動車道「和歌山北インターチェンジ」から車で30分
■駐車場:参拝者30分無料
日前神宮・國懸神宮:岩戸隠れ神話の鏡を御神体とする古社
和歌山市秋月の「日前神宮・國懸神宮」(ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう)は、伊太祁曽神社とともに紀伊国一の宮とされます。天照大御神を祀る日前神宮、五十狭芹彦命を祀る國懸神宮が同一敷地にあります。
天照大御神が岩戸隠れをした際、岩戸から天照大御神を引き出す工作のために石凝姥命がつくった鏡が御神体といわれています。
このため、古くは朝廷から格別の崇敬を受けていましたが、羽柴秀吉による紀伊太田城水攻めの後に破却され、近世になって初代紀州藩主・徳川頼宣により再建されました。
■所在地:和歌山県和歌山市秋月365
■電話番号:073-471-3730
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:和歌山電鐵貴志川線「日前宮駅」から徒歩1分/阪和自動車道「和歌山インターチェンジ」から車で10分
■駐車場:参拝者は無料
紀三井寺:室町時代の多宝塔をもつ桜の名所
和歌山市紀三井寺の「紀三井寺」は、西国三十三観音霊場第二番札所として信仰されています。
光仁天皇の宝亀元年(770)、唐から渡ってきた為光上人が十一面観世音菩薩像を自ら刻み、一宇を建立して安置したのがはじまりとされています。
高台にある境内からは和歌の浦の絶景を一望することができ、桜の名所としても親しまれています。
また、室町時代の貴重な多宝塔や楼門が残り、これらはともに国の重要文化財です。
■所在地:和歌山県和歌山市紀三井寺1201
■電話番号:073-444-1002
■拝観料:一般参拝者400円(ただし、令和4年4月5日から2年間は徒歩参拝者無料など特例あり)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR紀勢本線「紀三井寺駅」から徒歩10分/阪和自動車道「和歌山南スマートインターチェンジ」から車で15分
■駐車場:2時間300円(山上駐車場は700円)