太平洋に臨む城下町八戸で開運の旅

七福の岩 観光
この記事は約5分で読めます。

太平洋に臨む青森県南東部の八戸市は、現在では漁業や工業のまちとして知られますが、江戸時代には八戸藩南部家2万石の城下町として栄えた歴史をもっています。市内には南部家の祖先が建てたという櫛引八幡宮に代表される由緒ある神社が数多く存在します。

櫛引八幡宮:国宝の大鎧やカッパの彫刻がある名社

櫛引八幡宮

櫛引八幡宮」は、源頼朝の奥州征伐で軍功を立て陸奥国糠部郡を賜った南部家の祖先・南部光行が、建久2年(1191)の入部に当たって八幡神を勧請し、武運長久を祈ったのが始まりです。

縁起によれば、最初は六戸にあった仮宮で奉斎されていたところ、櫛引村に坂上田村麻呂が祀った八幡宮が鎮座していることがわかったため、 貞応元年(1222)に櫛引村に遷座したということです。

曩祖ゆかりの神社ということで南部家歴代の崇敬を受け、鎌倉時代の「赤糸威鎧」のような精巧できらびやかな大鎧も奉納されています。これらは国宝に指定されており、境内の「国宝館」で拝観することが可能です。

本殿や旧拝殿以下の社殿もまた、盛岡藩第2代藩主・南部重直が江戸時代前期に建立したもので、国重要文化財に指定されています。特に本殿の脇障子に鷹と河童をあしらっためずらしい彫刻があり必見です。

「櫛引八幡宮」は、殖産興業や武運勝負・安産守護のご利益があり、特に正月の初詣の時期は多くの人でにぎわいます。

櫛引八幡宮
■所在地:青森県八戸市八幡字八幡丁3
■電話番号:0178-27-3053
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:「八戸中心街ターミナル」から南部バス(三八線)15分、「神社前バス停」から下車/八戸自動車道「八戸インターチェンジ」から車で5分
■駐車場:無料

長者山新羅神社:えんぶり・打毬などの伝統行事で有名

長者山新羅神社

「長者山新羅神社(ちょうじゃさんしんらじんじゃ)」は、八戸城下町の南端に当たる長者山に鎮座しています。

延宝6年(1678)、八戸藩2代藩主・南部直政が五穀豊穣を祈って長者山に南部家の祖先である源頼光(新羅三郎)の御霊を勧請したのが始まりで、それ以前から祀られていた素佐鳴尊と虚空蔵菩薩をあわせて「三社堂」とも呼ばれました。

文政10年(1827)、八戸藩8代藩主・南部信真は社殿を改築するとともに「桜の馬場」を開設しており、「八戸三社大祭」期間中の8月2日には、紅白に分かれた騎馬武者が毬杖(ぎっちょう)で鞠を門に投げ入れる競技「加賀美流騎馬打毬」がこの馬場で行われます。

「八戸三社大祭」は、毎年7月31日から8月4日に行われる八戸最大のお祭りで、市内の龗神社(おがみじんじゃ)、長者山新羅神社、神明宮の三社の神輿の列が市内を練り歩きます。豪華な山車も見ものでユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」にも登録されています。

2月17日には絢爛豪華な巨大烏帽子をかぶった人々が舞を奉納する「えんぶり」と呼ばれる行事もあり、国指定重要無形民俗文化財となっています。

普段は静かな佇まいの神社ですが、勝運や商売繁盛のご利益を求めて参拝する人が絶えず、境内では子どもたちに童話を読み聞かせる「おとぎ会」なども行われ、すでに大正時代から100年以上の歴史をもっています。

長者山新羅神社
■所在地:青森県八戸市長者1-6-10
■電話番号:0178-22-1769
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR八戸線「元八戸駅」から南部バス(二ツ家線)10分、「十六日町バス停」下車、徒歩10分/八戸自動車道「八戸インターチェンジ」から車で15分
■駐車場:無料

蕪嶋神社:ウミネコ繁殖地にある株が上がる神社

蕪嶋神社

八戸港の蕪島の頂上に鎮座するのが「蕪嶋神社」で、もととも蕪島は離島だったものの、戦前の埋立工事により現在は陸続きとなっています。

源頼朝が主催した「富士の巻狩り」において父親の仇敵であった御家人・工藤祐経を討ったという「曽我兄弟の仇討ち」の話は『曽我物語』で有名ですが、この工藤祐経の子である犬房丸が流罪となり、故郷の江ノ島の風景に似ていると弁財天を祀ったのが、「蕪嶋神社」の始まりとされています。

江戸時代に入ると、世継ぎの男子に恵まれず悩んでいた八戸藩3代藩主・南部通信が新たに弁財天を勧請して祈願をしたところ、待望の世継ぎが産まれたため、以後代々の藩主からの信仰を集めました。

「蕪嶋神社」の名前は株式を連想させることから、現在は子授けや縁結びに加えて、株式投資の成功や金運などのご利益のほうで人気が高く、「株価が上がる」と評判の「かぶあがりひょうたんお守り」のような頒布品もあります。

「蕪嶋神社」は平成27年(2015)に火災によって社殿が全焼してしまいましたが、その後再建実行委員会が組織され、令和2年(2020)にようやく新社殿が完成しました。

蕪島はまた、国内最大のウミネコの繁殖地にもなっており、繁殖期の毎年3月には3万羽がこの島に飛来し、巣立ちを終える8月上旬まで居座るといい、国天然記念物の指定を受けています。

島内をぐるっと一周するように散策路がありますので、海風を感じながら歩いてみるのもよいでしょう。

蕪嶋神社
■所在地:青森県八戸市大字鮫町字鮫56
■電話番号:0178-34-2730
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR八戸線「鮫駅」から徒歩15分/三陸沿岸道路「八戸南インターチェンジ」から車で15分
■駐車場:無料
このページの編集者
Travelogues
※ このページの写真や文章を引用される場合は、当サイトへのリンクを貼るなどして出典を明示(デザインを損なわない程度の小さな文字で結構です)してください。事前のご連絡は不要です。

コメント

  1. […] 八戸インターチェンジから車で5分の場所にあります。この櫛引八幡宮は、奥州平泉征伐で戦功を立てて源頼朝から糠部郡(今の岩手・青森両県にかかる広大な地域)を拝領した南部家初代・南部光行公が創建したと伝えられます。そのため南部氏歴代から崇敬され、八戸藩の立藩後も引き続き盛岡藩で管理したといいます。 […]