後悔しない別荘地選びのポイントとは

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別荘を新築したいのであれば、まずは敷地となるべき土地を探すことが不可欠です。こうした土地探しに役立つ便利なアイテムとして、インターネットからアクセスできる民間の不動産情報専門サイトが挙げられます。

全国津々浦々にある別荘地物件が掲載されているため、閲覧するだけでも楽しいものですし、気になる物件があればただちに専用フォームで相手先の不動産会社に照会できるところも強みといえます。

しかし、不動産情報はかならずしも正確とはいいがたい場合があることは、あらかじめしっかりと認識しておかなければなりません。

もちろん宅地建物取引業法の規制がある以上、あからさまな虚偽情報はないはずですが、売り手側のある種の「印象操作」によって、消費者がはじめに情報に触れて抱く期待感と、実際に現地を訪れた際の印象とが異なるケースは多いものです。

注意したい写真や図面のない物件

不動産情報専門サイトで個別物件のページを見ると、その物件の所在地や面積・交通手段・築年数・設備の有無などの詳細が文章で書かれているほか、写真や図面もあわせて添付されています。
特に写真や図面(間取り)は候補となる物件を絞り込む上での有力な判断材料となりますので、ここにもしも不備があった場合には、重要な判断を誤らせてしまう原因にもなり得ます。

そこでこうした不動産情報専門サイトに掲載された物件写真を見てみると、妙に解像度が低かったり、サイズが小さくて画像がよく見えないものや、物件そのものではなく周囲のスーパーマーケットや学校などの施設だけを撮影したものが紛れ込んでいることがあります。
また、写真や図面が一枚も掲載されておらず、単に「公簿取引」「現況優先」などと記載されているだけの場合もあります。

もしもこのような事例に行き当たった場合には、掲載された写真だけでは確認できない物件の不具合が隠れている可能性を前提に、今後取引をすすめるかどうかを慎重に判断したほうがよいでしょう。
ありがちな事例として、次のようなものが挙げられますので、後悔しないためにもしっかりと確認しておきましょう。

  • 隣接土地との境界が不明瞭で、地主間のトラブルが見込まれたり、境界立会や確定測量のために多額の費用がかかるおそれがある。
  • 管理が行き届いておらず、雑草や雑木が繁茂しているため、実際に土地を利用するためには除草・伐採・伐根などの作業をしなければならない。
  • 法務局に備え付けられている明治時代の公図と現況とが大きくかけ離れており、現地を見た限りでは該当の土地がどこにあるのかが特定できない。
  • 土地の上に不法投棄されたゴミや前所有者の残置物があるため、撤去のために土地代以上の費用が必要である。
  • 以前の持ち主が別荘地の管理費や負担金を長年にわたり滞納しており、新たに購入した人が滞納金の支払い義務を負う可能性がある。

逆にこれらの不審な点がほとんどなく、写真や図面が豊富な物件情報であれば、それは取り扱いをしている不動産会社が誠実であり、しかもおすすめ物件としてアピールしたいと考えていることがわかりますので、他人に先を越される前に内見の予約や契約の意思表示をしたほうがよいかもしれません。

情緒的な表現の裏読みをする

破損

スーパーマーケットやホームセンターで販売している薄利多売の商品とは違って、別荘というものは1件の価格が数百万円から数千万円、なかには億超えというほどの価値をもつことがあります。

逆にいうと、不動産会社としては1件の取引が成約しただけでも莫大な利潤を上げることが可能であり、それゆえに広告のなかではできるだけネガティブな表現を排除し、ポジティブな表現で顧客を誘引しようとするはずです。

たとえば不動産情報サイトに次のようなポジティブ表現が踊っていれば、その裏に潜んでいる物件のデメリットとなる側面についても同時に思いを巡らす必要があるといえるでしょう。

  • 小鳥のさえずりが聞こえる ⇒ 小鳥しかいないような交通不便な山の中にある
  • 小川のせせらぎが聞こえる ⇒ 物件の至近距離に川が流れているので虫(ユスリカ・チョウバエ)の発生や地盤沈下のおそれがある
  • すばらしい眺め ⇒ 標高が高いので急な坂道を登ってアクセスしなければならない、または傾斜地に建てられていて崩落のおそれがある
  • 周囲の目が気にならない ⇒ 周囲に人家がない寂しい場所、または水道や下水道・電気などのインフラが到達していないほどの田舎なので整備費用が莫大になる
  • スキーやスノーボードが楽しめる ⇒ 冬場の積雪がひどくノーマルタイヤの自動車では進入不可、冬場は水道管が凍結する極寒の場所
  • サーフィンや釣りに最適 ⇒ 海辺にあるので塩害のため住宅の鉄筋や自動車が錆びやすい、津波や高潮による被災が懸念される
  • 資材置場や家庭菜園に最適 ⇒ 市街化調整区域にあって建物の建築が原則的にできないため資材置場や菜園くらいにしか使えない

これらは一例に過ぎませんし、また本当に物件情報として掲載されているとおりのポジティブな要素だったということもあり得ますが、高額な買い物となるだけに、一応は疑ってかかる姿勢も忘れないほうがよいでしょう。

土地選びで後悔しないために

このように別荘を建てるための土地選びに当たっては、広告の情報量が少な過ぎたり、メリットだけが誇張されているおそれがあることに注意して、物件の正確な姿を捉えることが重要です。

契約に先立ちかならず現地確認をしておくことは必須であり、真剣に検討した結果として、多少のデメリットがあったとしてもメリットが上回る状況であれば、購入を決めるのもまたあり得る選択といえるでしょう。