置賜の盆地に広がるまほろばの里・高畠町の歴史と文化がわかる観光スポット

2024年8月25日観光旅行

奥羽山脈をはじめとする山々に囲まれた置賜の盆地上に広がる山形県高畠町は、ぶどうやなし、もも、さくらんぼなどの実り豊かなまほろばの里として知られます。また、安久津八幡神社や亀岡文殊に代表される、歴史や文化の香りただよう町でもあり、町内には多くの観光スポットが点在しています。

安久津八幡神社


安久津八幡神社」は、置賜地方では唯一の三重塔が残る神社です。

貞観2年(860)、慈覚大師の発願により阿弥陀堂が建てられたのが始まりで、その後の前九年の役の際に源義家が祈願して勝利を得たことから、鎌倉の鶴岡八幡が勧請されたといわれています。

参道脇の三島池の中島には寛政9年(1797)に再建された三重塔が残るほか、参道をそのまま進むと中央に茅葺屋根をもつ宝形造の舞楽殿、さらに奥の石段上には本殿があります。これら3つの建物は山形県の指定文化財となっています。なお、明治時代の神仏分離令によって境内の寺院はすでに廃絶していますが、最盛期には別当神宮寺はじめ12坊があったことから、三重塔は神仏習合時代のなごりともいえます。

また、周囲からは国史跡「日向(ひなた)洞窟」ほか縄文時代の遺跡も発掘されていることから、この神社を含む一帯が「まほろば古の里歴史公園」として整備されており、「山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館」や「高畠町郷土資料館」で出土品の展示を見ることができます。国道113号を挟んだ向かい側には「道の駅たかはた」もオープンし、シャインマスカットやそばなどの名産品を取り扱っています。

安久津八幡神社
■所在地:山形県東置賜郡高畠町安久津2027
■電話番号:0238-52-5990
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東北中央自動車道「南陽高畠インターチェンジ」から車で10分

犬の宮


犬の宮」は、高畠町にある全国的にも珍しいイヌを祀る神社です。

和銅年間、高安(こうやす)村では都の役人に「人年貢」を差し出すことになり難渋していたため、旅の座頭が一計を案じて甲斐国から連れてきた三毛犬・四毛犬を役人にけしかけました。すると大乱闘の末に役人に化けた狸が退治され、手負いの三毛犬・四毛犬も亡くなったということです。

これらのイヌを村の鎮守として祀ったのが「犬の宮」であり、今ではペットの病気平癒祈願や供養のため、全国から多くの人々が訪れています。

犬の宮
■所在地:山形県東置賜郡高畠町高安
■電話番号:0238-52-0229(犬の宮別当林照院)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東北中央自動車道「南陽高畠インターチェンジ」から車で10分

猫の宮


高畠町の「猫の宮」は、「犬の宮」のごく近くに鎮座する神社で、その名前のとおりネコを祀っています。

延暦年間、子どものない庄屋夫婦が観音様からネコを授かり、タマと名付けて大切に育てていましたが、どこへ行くにも傍らを離れず何物かを睨みつけるような異常なふるまいをするため、思い余って首を切り落としたところ、首だけが飛んでいって天井裏に潜んでいた大蛇に噛みついたということです。

この大蛇は実はかつて退治された古狸の怨念が化した姿であり、ネコが庄屋夫婦を守っていたのだと知れたことから、観音堂を建ててねんごろに祀ったものがいつしか「猫の宮」と呼ばれるようになりました。

蚕を食い荒らすネズミの天敵であるネコを祀る「猫の宮」は養蚕の神として信仰されてきましたが、近年ではペット供養や迷い猫探しのご利益を目当てに訪れる人が多くなっています。

猫の宮
■所在地:山形県東置賜郡高畠町高安
■電話番号:0238-52-2153(清松院)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東北中央自動車道「南陽高畠インターチェンジ」から車で10分

亀岡文殊


「亀岡文殊」は、京都府宮津市の智恩寺、奈良県桜井市の安倍文殊院とともに、「日本三文殊」の一つとされる寺院です。

大同2年(807)、東北布教にやってきた徳一上人が、中国の五台山の風景に似たこの地に堂宇を建立したのが始まりといわれます。文殊堂の別当寺である「大聖寺」は、大日如来を本尊に祀る真言宗智山派の寺院で、勅願所として皇室からも厚い崇敬を受けました。今でも知恵を授ける仏様として、入学試験や入社試験などの合格祈願のために訪れる人が絶えません。

また、杉並木に覆われた「亀岡文殊」の風情ある長い参道沿いには、大きな仁王門や義民高梨利右衛門供養塔、十六羅漢像、芭蕉句碑、鐘楼堂などが建っています。

亀岡文殊
■所在地:山形県東置賜郡高畠町亀岡4028-1
■電話番号:0238-52-0444(大聖寺)
■営業時間:8時30分〜17時(5月〜10月)、8時30分〜16時(11月〜4月)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東北中央自動車道「南陽高畠インターチェンジ」から車で10分

大酬恩碑


二井宿峠の麓にある「大酬恩碑」は、義民として知られる高梨利右衛門をたたえるために建てられた石碑です。凝灰岩でてきており、高さは5メートルで、同種の石碑のなかでは日本最大とされています。

高梨利右衛門は江戸時代前期の二井宿村の肝煎で、上杉家による重税に苦しんでいた屋代郷の農民を救うために幕府に直訴し、元禄元年(1688)に処刑されたと伝わっています。ただし、利右衛門という人物はいたものの、伝説の内容は史実と異なるという説もあります。

「大酬恩碑」は文政10年(1827)にはじめて建てられましたが、その後役人に取り壊されており、現在のものは明治時代になってから再建されたものです。

大酬恩碑
■所在地:山形県東置賜郡高畠町二井宿上宿2750
■電話番号:0238-52-1111(高畠町社会教育課文化係)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東北中央自動車道「南陽高畠インターチェンジ」から車で10分
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Travelogues
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