市街地近郊の秩父の名所めぐり

2023年12月10日観光旅行

武甲山に抱かれた盆地の中に形成された秩父の市街地には、「秩父神社」を始めとしたさまざまな名所旧跡の数々が点在しています。そのいくつかは「駅から徒歩圏内の秩父名所めぐり」でご紹介しましたが、市街地近郊にもまだまだ一度は訪れたい名所旧跡がいくつもあります。

音楽寺:歌手のヒット祈願で人気


「松風山音楽寺」は、秩父観音霊場第二十三番札所になっている臨済宗の寺院です。

平安時代に慈覚大師円仁が創建したと伝えられる寺院で、小鹿坂峠の中腹にあります。慈覚大師がここに仏堂を建てたとき、無数の牡鹿が現れて道案内をしたので「小鹿坂」になったといいます。

この寺の観音堂は、江戸時代の正徳年間(1711~1716)に建立された寄棟造りの仏堂で、室町時代作の聖観音菩薩像が祀られています。

秩父観音霊場を開いた「十三権者」が、この山の松風の音を菩薩たちの奏でる音楽と聞いたことから「音楽寺」の名前が産まれたといい、今でも多く歌手がヒット祈願のために参拝しています。

堂の傍らにある梵鐘は、明和5年(1768)に鋳造された六観音が鋳出されているもので、明治17年(1884)に困民党の農民たちが武装蜂起した秩父事件では、決起の合図としてこの鐘が打ち鳴らされたといわれます。

明治17年(1884)には「秩父困民党」の農民3,000人あまりが武装蜂起し、この「音楽寺」の梵鐘を打ち鳴らして秩父の市街地に乱入した農民一揆がありました。

「十三権者」とは

小鹿坂峠に「十三権者の石仏」といわれる13体のお地蔵さんが立っています。

「十三権者」とは、秩父巡礼を開創した13人のことで、閻魔大王・倶生神・花山法皇・性空上人・蔵王権現・医王上人・白河法皇・徳道上人・良忠僧都・通観法印・善光寺如来・妙見大菩薩・熊野権現を指します。

音楽寺
■所在地:埼玉県秩父市寺尾3773
■電話番号:0494-25-3018
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:秩父鉄道「秩父駅」から西武観光バスぐるりん号(左回り)10分、「音楽寺バス停」下車/関越自動車道「花園インターチェンジ」から皆野寄居有料道路経由、車で40分
■駐車場:無料

秩父ミューズパーク:芸術・スポーツの殿堂


「秩父ミューズパーク」は、秩父市と秩父郡小鹿野町にまたがる広大な都市公園で、総合保養地域整備法(リゾート法)に基づき埼玉県・秩父市・西武グループの3者により整備され、平成3年(1991)に開園しました。

自然豊かな環境の中に野外ステージや音楽堂、ミューズの泉、パルテノンなどの芸術・スポーツ関連の施設が配置されています。公園の名称もギリシャ神話に登場する9柱の女神ミューズにあやかって採用されたものです。

桜やスイセン、紫陽花、イチョウをはじめとする花木の名所でもあり、季節になると多くの人々が訪れるほか、音楽のコンサートなども盛んです。

秩父ミューズパーク
■所在地:埼玉県秩父郡小鹿野町長留2518
■電話番号:0494-25-1315(管理事務所)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:秩父鉄道「秩父駅」から西武観光バスぐるりん号(左回り)10分、「ミューズパーク中央バス停」下車/関越自動車道「花園インターチェンジ」から皆野寄居有料道路経由、車で40分
■駐車場:無料

椋神社:手作りロケット花火の奉納で有名


秩父市下吉田地区にある「椋神社(むくじんじゃ)」は、例祭にあわせて手作りロケットを打ち上げる国重要無形民俗文化財の「秩父吉田の龍勢」で知られる神社です。

景行天皇の時代、日本武尊の東征の途中で椋の木の下に猿田彦大神が現れて道案内をしたところから、祭神として猿田彦大神を祀ったのが始まりと伝えられます。

戦国時代の天正3年(1575)に再建された社殿は、鉢形城主・北条氏邦によるもので、秩父市の有形文化財に指定されています。

毎年10月には地元の農民たちが手作りしたロケット花火「龍勢」を打ち上げる「龍勢祭」が例大祭として斎行されており、テレビアニメ・映画の『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のモチーフになったことでも有名です。

また、明治17年(1884)に田代栄助ら「秩父困民党」が決起集会を開いた場所でもあります。

椋神社
■所在地:埼玉県秩父市下吉田7377
■電話番号:0494-77-1293
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:秩父鉄道「秩父駅」から西武観光バス(吉田元気村行)35分、「椋神社バス停」下車/関越自動車道「花園インターチェンジ」から皆野寄居有料道路経由、車で30分
■駐車場:無料

聖神社:和同開珎ゆかりの神社


「聖神社」は、日本最初の流通貨幣「和同開珎」と深く関連する神社で、金運将来のパワースポットとして人気です。

和銅元年(708)、武蔵国秩父から自然銅が献上されたことを喜んだ朝廷が、銅を御神体として鉱山の神である金山彦尊ほかを祀ったのが、この神社の始まりです。

神社には付近から採掘された自然銅(和銅)と、元明天皇から下賜された雌雄一対の銅製の蜈蚣(むかで)が残されています。

現在の社殿は「秩父今宮神社」から移築した江戸時代のもので、秩父市の有形文化財に指定されています。

聖神社
■所在地:埼玉県秩父市黒谷2191
■電話番号:0494-24-2106
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:秩父鉄道「和銅黒谷駅」から徒歩5分/関越自動車道「花園インターチェンジ」から皆野寄居有料道路経由、車で25分
■駐車場:無料

和銅採掘露天掘り跡:古代の銅採掘遺跡


慶雲5年(708)、我が国で初めて自然銅が発見され、採掘された場所の跡で、「聖神社」の東500メートルほどの山中にあります。

朝廷では銅の献上を記念して元号を「和銅」に改め、日本最初の流通貨幣である「和同開珎」も製造されました。

和銅沢に沿って採掘跡がありますが、現在は上流の落石により沢への立入りが禁止されています。
和銅採掘露天掘り跡
■所在地:埼玉県秩父市黒谷1918
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:秩父鉄道「和銅黒谷駅」から徒歩15分/関越自動車道「花園インターチェンジ」から皆野寄居有料道路経由、車で25分
■駐車場:無料
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Travelogues
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