由良川沿いに開けた織物ゆかりの町・綾部市の観光スポット

2024年8月28日観光旅行

由良川に沿って町並みが広がる京都府北部の綾部市には、古くから人々の営みがあり、中世には上杉家の本貫の地として栄えました。「綾部」の地名は古代、絹織物の生産を専業にしていた「漢部」(あやべ)より起こるとされ、江戸時代にも特産品として木綿織物や生糸がありましたが、近代に入るとアパレルメーカーのグンゼが創業し、繊維産業全盛の時代を築きました。綾部市は京都市街からも高速道路や特急列車でおよそ1時間ほどの距離にあり、観光で訪れるのにも最適です。

あやべグンゼスクエア


「あやべグンゼスクエア」は、グンゼ創業の地である綾部市内に平成26年(2014)に誕生した総合交流拠点施設です。グンゼ綾部本社に隣接する社有地の一角にあり、「あやべ特産館」「グンゼ博物苑」「綾部バラ園」の3つの施設から成り立っています。

「あやべ特産館」は、地元の新鮮な京野菜や新米、加工食品、工芸品などを豊富に揃えた展示販売施設です。爽やかな香りの綾部茶、伝統の黒谷和紙を使った小物入れなど、ご当地ならではの名品を手に入れることができます。綾部茶とスイーツのセットが人気のカフェや観光情報ステーションも入居しています。

「グンゼ博物苑」は、地元の蚕糸業の振興を目的に明治29年(1896)に創業した「郡是製糸株式会社」にはじまり、アパレルを柱に医療・産業資材・生活サービスなどの幅広い分野に事業展開する総合メーカーに成長した現在の「グンゼ株式会社」まで、それぞれの時代に培った技術や事業の内容などを紹介しています。メインの「展示蔵」は大正時代に利用されていた繭蔵を改造したものです。

「綾部バラ園」は、約150種、1200本のバラが植栽されており、季節になると美しいバラの花を間近で観賞できる市民の憩いの場です。総勢500名のボランティアの手により造成や植栽がなされました。

あやべグンゼスクエア
■所在地:京都府綾部市青野町亀無1-2
■電話番号:0773-43-0811(あやべ特産館)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR山陰本線「綾部駅」北口から徒歩10分、または南口からあやバス乗車5分、「あやべグンゼスクエア前」バス停下車/舞鶴若狭自動車道「綾部インターチェンジ」から車で5分、または京都縦貫自動車道「綾部安国寺インターチェンジ」から10分

安国寺


安国寺」は、室町幕府の初代将軍・足利尊氏が、戦没者供養のため諸国に置いた安国寺の筆頭に位置する寺院です。臨済宗東福寺派に属し、その前身は上杉氏の菩提寺である「光福寺」とされています。

この地にはかつて、将軍に任じられた宗尊親王(むねたかしんのう)に付き従い京から鎌倉に下向した勧修寺(上杉)重房が賜った荘園「上杉荘」があり、足利尊氏の母が上杉氏であることから、尊氏の出生伝説も残っています。山門に至る参道沿いには「尊氏公産湯の井戸」、境内の開山堂脇には2代将軍・足利義詮(よしあきら)が尊氏の遺骨を分骨した「宝篋印塔」(ほうきょういんとう)があります。

本堂は風情のある茅葺きの建物で、本尊として安置されるのは脇侍として文殊菩薩と普賢菩薩を従えた国重要文化財の釈迦三尊像です。秋には参道や本堂の周囲にある約100本の紅葉が色づき、名所の一つとしてよく知られています。

安国寺
■所在地:京都府綾部市安国寺町寺ノ段1
■電話番号:0773-44-1565
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR山陰本線「綾部駅」南口からあやバス乗車20分、「安国寺前」バス停下車/京都縦貫自動車道「綾部安国寺インターチェンジ」から車で2分

私市円山古墳(きさいちまるやまこふん)


由良川沿いの丘陵上にある「私市円山古墳」は、全長81メートル、高さ10メートルの古墳で、円墳としては京都府内では最大規模を誇っています。平野部と丘陵上との高低差は60メートルもあり、周囲からはかなり目立つ位置にあります。

墳頂部には3つの埋葬施設があり、うち中央部の木棺からは、短甲や衝角付冑、鉄刀などの武具に加え、勾玉・管玉・鏡・鎌などの副葬品が出土しました。3段に造成された墳丘の表面には由良川から運んだ河原石が葺かれ、1段目と2段目の間には埴輪列も確認されています。

この古墳は平成6年(1994)に国史跡に指定され、現在では史跡公園「私市円山古墳公園」として整備・復元されています。

私市円山古墳
■所在地:京都府綾部市私市町円山8-2
■電話番号:0773-43-1366(綾部市資料館)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR山陰本線「綾部駅」北口からあやバス乗車20分、「湯殿(私市円山古墳公園前)」バス停下車/舞鶴若狭自動車道「綾部インターチェンジ」または「福知山インターチェンジ」から車で20分

高津八幡宮


「高津八幡宮」は、綾部市の南西にある旧府社で、応神天皇を主祭神としています。社伝によれば、元慶5年(881)、この地に石清水八幡宮から金色の鳩が飛来する瑞祥があり、朝廷が国司・橘良基を派遣して確認したところ事実であったため、勅命により石清水八幡宮の分霊を勧請して別宮を建てたのがはじまりといいます。明応9年(1500)に火災により社殿や社宝をことごとく焼失しますが、その後再建されました。

現在の社殿は江戸時代の嘉永5年(1852)に綾部藩7代藩主・九鬼隆都(たかひろ)が改築したもので、京都府の有形文化財に指定されています。ほかにも火災の焼け残りといわれる鎌倉時代作の木造狛犬などの社宝があります。

表参道の石段は村民の寄進により30数年がかりで文化13年(1816)に完成したもので、山麓から社殿までは相当の距離がありますが、別に舗装された車道も整備されています。また、神社裏手の八幡山上には戦国時代の「高津城跡」があり、境内から道路が続いています。

高津八幡宮
■所在地:京都府綾部市高津町宮ノ段1
■交通アクセス:JR山陰本線「綾部駅」南口からあやバス乗車10分、「高津東」バス停下車、徒歩15分/舞鶴若狭自動車道「福知山インターチェンジ」から車で15分
このページの編集者
Travelogues
※ このページの写真や文章を引用される場合は、当サイトへのリンクを貼るなどして出典を明示(デザインを損なわない程度の小さな文字で結構です)してください。写真の拡大・縮小やトリミングは自由です。事前または事後のご連絡も不要です。