古代の内海に沿う東国三社-鹿島神宮・香取神宮・息栖神社
茨城県の鹿島神宮・息栖神社と千葉県の香取神宮は、「東国三社」として知られ、特に江戸時代にはお伊勢参りとあわせてこれらの三社を巡拝する風習がありました。
古代には利根川や霞ヶ浦のあたりに巨大な内海が広がっており、これらの三社は内海への入り口に鎮座していたと考えられています。
「東国三社」は今でも関東屈指のパワースポットとして、年間を通じて多くの観光客を集めています。
鹿島神宮
鹿島神宮のあらまし
「鹿島神宮」は、神武天皇元年に創建されたと伝えられる東国第一の古社で、「東国三社」の一つに数えられます。
御祭神は、天孫降臨に先立つ葦原中国平定にあたり、香取神宮に祀られる経津主大神とともに活躍した武甕槌大神です。
古代には蝦夷征伐の守護神として朝廷から崇敬されたほか、藤原氏の氏神としても奈良の春日大社に勧請されて篤く信奉されてきました。
武神としても知られることから、今でも鹿島・香取の両神号を記した掛軸が道場などによく飾られています。
鹿島神宮の御利益とは
武甕槌(たけみかづち)命、または武御雷神は、天照大神によって高天原から遣わされ、葦原中国を平定した伝説があるため、武門の神として知られています。
布都御魂(ふつのみたま)剣と呼ばれる神剣を携えていたことから剣の神として、また、その神名から雷の神ともされます。
特に古代には防人(さきもり)が旅立つにあたって道中の無事を祈ったことで知られ、門出を意味する「鹿島立ち」という言葉の語源となりました。
摂関政治で有名な藤原氏が遠く常陸国の鹿島神宮から勧請して春日大社に祀り、藤原氏の氏神とするなと、朝廷や貴族からの崇敬も篤く、特に全国各地にある鹿島神社や春日神社に祀られるケースが多くなっています。
このことから、武甕槌命の御神徳・御利益としては、武道守護、勝利開運、殖産興業、国家鎮護、病気平癒などが一般にいわれているところです。
鹿島神宮の見どころ
本殿:元和5年(1619)、江戸幕府の2代将軍・徳川秀忠が造営したもので、国重要文化財となっている。
要石(要石):地震をもたらす地下のナマズを押さえているという不思議な石。徳川光圀が掘らせたところ、7日7晩かけても終わりが見えずあきらめたという話が『水戸黄門仁徳録』にある。
楼門:寛永11年(1634)、水戸藩初代藩主・徳川頼房が造営したもので、阿蘇神社・筥崎宮と並ぶ「日本三大楼門」の一つという。
御手洗池:奥宮からさらに下った場所にある禊をするための池。水は透明で境内のパワースポットの一つとされる。
■所在地:茨城県鹿嶋市宮中2306-1
■電話番号:0299-82-1209
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR鹿島線「鹿島神宮駅」から徒歩約10分/東関東自動車道「潮来インターチェンジ」から車で10分
■駐車場:境内前の第1駐車場は普通車300円。正面鳥居から350メートル西の第2駐車場と御手洗池入り口の駐車場は無料。
香取神宮
香取神宮のあらまし
「香取神宮」は、神武天皇のころに創建されたと伝えられる関東の名社で、ご祭神は武甕槌神とともに出雲の国譲り神話に登場する経津主(ふつぬし)大神です。
武門の神であることから、源頼朝や足利尊氏の寄進を受けるなど、古今の多くの武将たち信仰されてきました。
12年に1度斎行される式年大祭の「神幸祭」は、御座船に神輿を乗せて利根川を遡る壮大なもので、鹿島神宮からも出迎えを受けます。
香取神宮の御利益とは
経津主(ふつぬし)命は、日本神話のなかでは、武甕槌(たけみかづち)命とともに天下り、国譲りの交渉をした武神とされ、その神名から鋭利な剣の威力をあらわす神ともいわれています。
しばしば鹿島神宮に祀られる武甕槌命、利根川をはさんだ対岸の香取神宮に祀られる経津主命がセットで登場することもあります。
経津主命の一般的な御利益・御神徳としては、武道上達、殖産興業、海上守護、家内安全などが知られています。
香取神宮の見どころ
本殿:江戸時代の元禄13年(1700)、5代将軍・徳川綱吉の命により造営されたもので、三間社流造のものとしては国内最大級といわれ、国の重要文化財に指定されている。
要石(かなめいし):地震を起こす地中の大ナマズを押さえつけているとされる霊石。鹿島神宮の要石が凹型であるのに対して、香取神宮のものは凸型をしている。
楼門:本殿と同様に元禄13年(1700)の造営で国重要文化財。扁額額は日本海海戦の英雄・東郷平八郎が揮毫したもの。
■所在地:千葉県香取市香取1697
■電話番号:0478-57-3211
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR成田線「佐原駅」からバス15分、「香取神宮前」下車/東関東自動車道「香取佐原インターチェンジ」から車で5分
■駐車場:参道商店街前に100台(無料)。ほかに旧参道の坂を登った先に若干台あり。
息栖(いきす)神社
息栖神社のあらまし
「息栖神社」は、現在の常陸利根川沿いに鎮座する神社で、応神天皇のころの創建と伝えられ、御祭神は天鳥船命、岐(くなど)神、住吉三神です。
常陸利根川近くの一の鳥居の真下には、「忍潮井」(おしおい)とよばれる霊泉が湧き、水中からぼこぼこと空気の泡が立っているのがみられます。
この「忍潮井」は、伊勢国の明星井(あけぼのい)、山城国の直井と並ぶ「日本三霊泉」の一つとされています。
息栖神社の御利益とは
息栖神社は天鳥船命、岐神、住吉三神を祀り、うち岐神は境界を守る神、天鳥船命や住吉三神は水上交通の守り神と考えられます。
このため、息栖神社の一般的な御利益としては、交通安全・旅行案内や厄災消除が挙げられます。
息栖神社の見どころ
忍潮井:常陸利根川近くの鳥居の下に2つの井戸があり、それぞれ「男瓶」(おがめ)と「女瓶」(めがめ)といわれ、水中に甕(かめ)が沈められている。
■所在地:茨城県神栖市息栖2882
■電話番号:0299-92-2300
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:JR成田線「小見川駅」から神栖市コミュニティバス8分、「息栖神社」下車/東関東自動車道「潮来インターチェンジ」から車で15分