白川郷・世界遺産に登録された合掌造り集落を旅する
雪深い白山の麓、庄川流域に位置する白川郷には、厳しい自然環境に適合するために編み出された「合掌造り」といわれる民家建築が今でも数多く残されており、日本の原風景ともいえる景観が魅力です。特に岐阜県大野郡白川村の荻町集落はその代表的なもので、年間を通じて170万人近い観光客が訪れています。
白川郷合掌造り民家園
「白川郷合掌造り民家園」は、白川郷の一角につくられた野外博物館で、岐阜県重要文化財に指定された建造物9棟を含む、全25棟の建造物を保存公開しています。
これらの建物は白川郷の各集落から移築されたもので、合掌造りによる農家の母屋だけではなく、馬小屋や唐臼小屋、板倉、神社、寺院などのさまざまな種類の建築物があります。江戸時代の安政年間に建築された「旧東しな家住宅」などの一部の建物内では、白川郷の昔の暮らしぶりがわかる写真や民具なども展示されています。
また、「白川郷合掌造り民家園」には手打ちそばの食堂やどぶろく味のアイスが好評な売店などの施設も開設されています。
■所在地:岐阜県大野郡白川村荻町2499
■電話番号:05769-6-1231
■入園料:個人大人600円、小人400円
■営業時間:3月~11月は8時40分~17時、12月~2月は9時~16時(入園は閉園20分前まで)
■休園日:4月~11月は無休、12月~3月は木曜日(祝日の場合は前日)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から車で10分/JR高山本線「高山駅」(高山濃飛バスセンター)から濃飛バス(白川・金沢線)乗車50分、「白川郷」バス停下車
明善寺
白川郷の荻町集落の中にある「明善寺」は、江戸時代に内ヶ戸から移転してきた浄土真宗の門信徒が集う道場がはじまりといわれています。
境内の入口に建つ鐘楼門は享和元年(1801)のもので、珍しい茅葺きの二重楼門となっています。続く本堂は文政10年(1827)の建築で、同じく茅葺きで入母屋造り、桁行7間、梁間6間の大きなものです。
本堂脇の明善寺庫裏は内部が5層に分かれた合掌造りで、高さ15メートルもある堂々とした白川郷を代表する建築物です。現在は「明善寺庫裡郷土館」として活用され、白川郷に伝わる民具などが展示されています。
■所在地:岐阜県大野郡白川村荻町679
■電話番号:05769-6-1009
■入館料(郷土館):一般個人大人400円、小人(小学生・中学生)200円
■営業時間:4月~11月は8時30分~17時、12月~3月は9時~16時(不定休)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から車で10分/JR高山本線「高山駅」(高山濃飛バスセンター)から濃飛バス(白川・金沢線)乗車50分、「白川郷」バス停下車
白川八幡神社
「明善寺」にほど近い「白川八幡神社」は、和銅年間の創建と伝える白川郷43か村の総社で、応神天皇(八幡神)を主祭神としています。拝殿向かって右手にある釈迦堂は、江戸時代はじめの寛永4年(1627)に荻町城主・山下氏勝が建立した茅葺きの建物です。
この「白川八幡神社」では、毎年10月14日・15日の2日間にわたって、天下の奇祭とされる「どぶろく祭」が斎行されます。この祭礼では赤鬼・青鬼が神輿を先導し、最後に境内にある蔵でつくられたどぶろくが参列者に振る舞われるのが特徴です。
■所在地:岐阜県大野郡白川村荻町559
■電話番号:05769-6-1624
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から車で10分/JR高山本線「高山駅」(高山濃飛バスセンター)から濃飛バス(白川・金沢線)乗車50分、「白川郷」バス停下車
神田家
荻町集落の「神田家」は、現在国重要文化財に指定されている「和田家」から分家した和田佐治衛門が居を構えたところで、周囲に八幡神社の神田があったことから「神田」を苗字として名乗りました。
母屋は江戸時代後期に10年がかりで宮大工につくらせたという合掌造りの建物で、1階の広間には囲炉裏が切ってあり、年間を通して火が消えることはありません。その上層は中2階から4階まであり、かつては養蚕部屋や物置として利用されていました。現在も内部には養蚕や機織り、醸造などに使われた用具が展示されています。
■所在地:岐阜県大野郡白川村荻町796
■電話番号:05769-6-1072
■公式サイト:[こちらをクリック]
■入館料:大人400円、小人(小学生)200円
■営業時間:10時~16時(水曜定休)
■交通アクセス:東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から車で10分/JR高山本線「高山駅」(高山濃飛バスセンター)から濃飛バス(白川・金沢線)乗車50分、「白川郷」バス停下車
長瀬家
荻町集落の「長瀬家」は、「神田家」の向かいに位置する合掌造りの旧家で、内部は5階建てとなっています。明治23年(1890)に5代目当主が建築した白川郷でも屈指の大きさのもので、大黒柱には樹齢150から200年ほどの檜が使われています。
先祖が加賀藩前田家の典医を務めていたことから、内部には農具や什器のほかにも医療器具が展示されているところがユニークです。また、1階の仏間に安置される仏壇は、今からおよそ500年ほど前のものといいます。
■所在地:岐阜県大野郡白川村荻町823-2
■電話番号:05769-6-1047
■公式サイト:[こちらをクリック]
■入館料:大人400円、小人(小学生)200円
■営業時間:9時~17時(不定休)
■交通アクセス:東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から車で10分/JR高山本線「高山駅」(高山濃飛バスセンター)から濃飛バス(白川・金沢線)乗車50分、「白川郷」バス停下車
和田家住宅
荻町集落の入口に近い「和田家住宅」は、江戸時代に口留番所役人や庄屋を務めた名家で、主屋は間口14間、奥行7間と、白川郷の合掌造りの民家のなかでは最大規模を誇ります。ほかに便所や土蔵が残されており、いずれも江戸時代末期の建築とみられます。
「和田家住宅」は主屋をはじめとする建物のほか、融雪のための水路や石垣、防風林といった伝統的な屋敷構えが豊かに残されていることから、国重要文化財に指定されています。
■所在地:岐阜県大野郡白川村荻町997
■電話番号:05769-6-1058
■公式サイト:[こちらをクリック]
■入館料:大人400円、小人(小学生)200円
■営業時間:9時~17時(不定休)
■交通アクセス:東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から車で10分/JR高山本線「高山駅」(高山濃飛バスセンター)から濃飛バス(白川・金沢線)乗車50分、「白川郷」バス停下車
荻町城跡展望台
「荻町城跡展望台」は、荻町集落の北側の断崖絶壁上にある展望台です。中世、ここには「天正地震」で居城・帰雲城もろとも滅亡したことで有名な内ヶ島氏の家臣・山下氏が築いた「萩町城」と呼ばれる山城がありました。現在は祠や世界遺産の石碑が建つのみでが、この場所は山麓よりも60メートルほど高いことから、カバー写真のように合掌造り集落を一望することができ、撮影スポットとして観光客に人気があります。
山麓から「荻町城跡展望台」に登るには、「和田家住宅」裏にある舗装された遊歩道、もしくは国道156号・360号分岐部に入口がある山道を歩くか、または国道360号を経由するシャトルバスに乗車することになります。以前は国道360号を経由してマイカーで展望台脇の駐車場に乗り入れる方法もありましたが、長時間駐車が横行し慢性的な渋滞が発生したことから、令和6年(2024)から当分の間、一般車両の進入は禁止となりました。
■所在地:岐阜県大野郡白川村荻町528
■電話番号:05769-6-1311(白川村観光振興課)
■公式サイト:[こちらをクリック]
■交通アクセス:東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から車で10分(せせらぎ駐車場まで)/JR高山本線「高山駅」(高山濃飛バスセンター)から濃飛バス(白川・金沢線)乗車50分、「白川郷」バス停で下車して徒歩2分、「展望台行きシャトルバス乗降場」(Aコープ白川前)からシャトルバスに乗り換え10分、「城山展望台」下車
秋葉神社
白川郷の入口に当たる「せせらぎ公園駐車場」から庄川に架かる吊り橋「であい橋」を渡ったすぐ先、字西通りに鎮座するのが、火之迦具土神を祀る「秋葉神社」です。
茅葺きの上に屋根の高さがある合掌造りは消火が難しく、これまでいったん火災が起こると全焼を免れませんでしたが、相次ぐ火災に加えて天明の飢饉、悪疫の流行に難儀した江戸時代の白川郷の人々が、火防の神を祀る小堂を建てたのがはじまりといいます。その後、大正時代に神殿を改修して「秋葉神社」と改め、現在に至っています。
■所在地:岐阜県大野郡白川村荻町
■交通アクセス:東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から車で10分/JR高山本線「高山駅」(高山濃飛バスセンター)から濃飛バス(白川・金沢線)乗車50分、「白川郷」バス停下車