西日本最高峰の石鎚山に抱かれた水の都・西条市の観光スポット

2024年10月7日観光旅行

愛媛県の東部に位置する西条市は、北に水運の盛んな瀬戸内海、南に西日本最高峰の石鎚山を抱える、自然に恵まれたまちです。特に自噴井戸「うちぬき」に代表される地下水の豊富さから「水の都」と呼ばれ、江戸時代には西条藩3万石の城下町としても栄えました。

西条藩陣屋跡

愛媛県西条市の市街地にある「西条藩陣屋跡」は、江戸時代に伊予西条藩3万石の藩庁が置かれた場所です。現在は県立西条高校の敷地となっています。

寛永13年（1636）に父・一柳直盛の遺領を継いだ一柳直重は、当時の神拝村の中心部に河川を付け替えて水掘をめぐらし、5ヘクタール超の敷地をもつ陣屋を築くとともに、周囲には武家屋敷や町人地を置きました。現在でも西条高校の正門として陣屋の大手門がそのまま用いられているほか、北御門や土塁、石垣、水掘などが残されており、往時をしのぶことができます。

一柳家では直重の子・直興が藩主のとき、山間地域の年貢を銀納にするよう直訴した農民たちを家族もろとも極刑に処したり（「大保木騒動」「銀納義民事件」）、家臣4人が主君を諌めるために切腹したりする（「忠烈四子」）などの事件が起こり、寛文5年（1665）には幕府から失政を理由に改易されています。これにより西条藩領は一時収公されましたが、寛文10年（1670）に松平頼純が入封し、以後幕末まで松平家が藩主としてこの地を治めることとなりました。

五百亀（いおき）記念館

「五百亀（いおき）記念館」は、西条市出身の彫刻家である伊藤五百亀の功績を顕彰する施設です。伊藤五百亀が「日展」などの展覧会に出品した作品や、その他の遺品などを常設展示しています。

伊藤五百亀は大正7年（1918）、当時の大保木村で出生し、上京して多摩帝国美術学校（現在の多摩美術大学）に入学の後、彫刻家の吉田三郎に師事しました。戦前の「文展」（文部省美術展覧会）や戦後の「日展」で特選を受賞するなど、人間の内面を表現した作品は高く評価され、以後も日展審査員や理事を歴任しています。伊藤五百亀の代表作には京都の三条大橋東詰にある「高山彦九郎皇居望拝之像」などが挙げられます。

記念館の2階部分は市民ギャラリーとして開放されており、市民の芸術活動の発表の場としても活用されています。

石鎚神社

「石鎚神社」は、西日本最高峰の石鎚山を神体山として崇める神社です。天武天皇14年（685）、修験道の祖・役小角が開山し、次いで寂仙法師が山頂にとどまり修行をしたと伝えられています。若き日の空海もここで修行をするなど、修験道の聖地として多くの高僧たちが訪れ、桓武天皇や源頼朝はじめ、朝廷や武家からも厚く崇敬されました。

明治時代には神仏分離令の影響により、かつての前神寺境内が口之宮として石土毘古命を祀る神社になり、戦後は神仏習合が特色の石鎚信仰を支える独立教団として石鎚本教が創設され、現在に至っています。

なお、石鎚山には口之宮本社のほか、中腹に中宮成就社、山頂に奥宮頂上社、石鎚スカイライン終点に土小屋遥拝殿があります。

伊曽乃神社

「伊曽乃神社」は、成務天皇7年（137）、景行天皇の皇子である武国凝別命（たけくにこりわけのみこと）が伊予開拓にあたり天照大神を祀ったのにはじまるとされる古社で、『延喜式神名帳』にも名神大社としてみえています。

五穀豊穣を感謝し毎年10月中旬に開催される例大祭は、嘉母（かも）神社、石岡（いわおか）神社、飯積（いいづみ）神社の例大祭をも含めて「西条まつり」と呼ばれており、100台以上のだんじり・みこし・太鼓台が加茂川の河原に勢揃いするさまは圧巻です。祭礼の中で屋台が一度に奉納される数としては日本一であるともいわれます。